2017/05/16【コレラ】内戦のイエメンでコレラ流行 184人死亡、1万人超感染か /イエメン
【コレラ】内戦のイエメンでコレラ流行 184人死亡、1万人超感染か /イエメン
イエメン・サヌア(CNN) 長引く内戦のため食糧危機や医療危機が深刻化しているイエメンで、コレラが流行して死者が続出している。現地の赤十字国際委員会によると、15日までに全土で184人の死亡が確認され、感染が疑われる患者は1万1000人に上る。
サヌア市内の子ども病院前では、母親に抱かれた幼い男の子が屋外で処置を受けた。医師は男の子の腕に点滴の針を挿入すると、木の枝に輸液の袋を下げて、次の患者の処置に移った。
同病院には、これ以上の患者を受け入れる余地はない。男の子の看護は付き添いの父母と兄が担う。
病院内では別の母親(39)が、娘2人の頭をひざに乗せて廊下に座っていた。娘は2人ともコレラの治療を受けている。母親は、子ども5人を含む一家全員がコレラに感染したのではないかと恐れる。
「病気の子どもを連れて病院へ歩く途中で私も目まいがした」「子どもたちが病気のために死のうとしているのに、一家全員、何も食べるものがない」。母親はCNNの取材にそう訴えた。
同病院に勤務するイスマエル・マンスーリ医師(42)は、あまりにも患者が多すぎると打ち明ける。毎日のようにコレラの疑いのある患者が病院を訪れ、13日にはわずか2時間で200人もの患者を担当したという。
「医薬品も病院のスペースも何もかも不足している。1つのベッドを患者3人で分け合わなければいけない状況だ」とマンスーリ医師。コレラに感染した患者は女性が多数を占めるという。
サヌアは反政府武装組織「フーシ」に占領され、市民が飢えや疾病に苦しむ状況が続く。病院で取材に応じた女性は言う。「夫が2年前に仕事を失ってからは、食べるものも、子どもたちに食べさせるものも見付けられない」「1日に1度、パンくずに水を混ぜて子どもたちと一緒に食べる。でもそれも運のいい日だけ。一日中何も食べないまま眠りにつく日も多い。それでもほかの家庭よりはまし。私たちがまだ生きていることに感謝している」
病院前の歩道には、ごみの山がうず高く積もる。衛生状態の悪化がコレラの流行に拍車をかけている。何カ月も給与が未払いの市職員がストに突入したことから、ごみが回収されないまま、街や水の汚染源になっている。
「この紛争は国全体で、人だけでなく健康、水、衛生などの制度体系にも大きな犠牲をもたらした」「医師や看護師は8カ月以上も給与を受け取っていない。制度全体があふれ返った状態で、今は特にコレラがそれに拍車をかけている」。現地の赤十字幹部はそう指摘した。
マンスーリ医師は、治療可能な疾患のために患者が次々に死亡する状況を食い止められないことに対し、焦りを隠さない。コレラは早期に治療を受けさえすれば、比較的簡単に治癒できる。だがそれは、水分補給用の輸液と治療が受けられればの話だ。
イエメンでは、サウジアラビア主導の有志連合とフーシとの戦闘が続く。同国衛生省によると、有志連合が科した封鎖のために、サヌアへの医療物資の供給は完全に底を尽き、80トン分の医療支援物資が東アフリカのジブチで足止めされているという。
「国際社会が対応し、現在の世界で最悪級の疫病からイエメンを救う手助けをしなければならない」。衛生省の報道官はそう訴えている。
https://www.cnn.co.jp/world/35101206.html