【ピロリ菌】胃がんリスク軽減へ 中学3年生にピロリ菌検査 /熊本県
胃がんのリスク軽減へ――。熊本県天草市は、今年度から市内の中学3年生を対象に、胃がんの主な原因とされるヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の感染検査を無料で行っている。県内初の取り組みとなる同事業を推進してきた市議会公明党の赤木武男議員は先ごろ、4月中旬に検査を受けた中学3年生の男子生徒の自宅を訪れ、懇談した。
「息子の検査結果が陰性だったので一安心」。父親の吉田祐治さん(58)は安堵の表情を浮かべながら、「もし陽性だったとしても、この年齢で除菌治療に踏み出せるので将来的な健康維持につながる。本当にありがたい取り組み」と感謝の思いを語った。
ピロリ菌は、胃の粘膜に生息する、らせん形の細菌。放っておけば胃の粘膜に炎症などを引き起こし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんなどの原因になる。除菌すれば、これらの発生を抑制することが可能だ。
同市では、ピロリ菌の感染検査を中学校の健康診断で提出する尿検査と同時期(4~5月)に実施。任意検査のため、希望者は保護者の申込書兼同意書とともに、別容器で採取した尿を学校に提出する必要がある。市から委託された天草郡市医師会(天草地域健診センター)が感染検査を行い、検査結果は随時、同センターから保護者へ郵送される。
懇談の中で、「最近はクラスメートとピロリ菌の話題で持ちきり」と笑顔の吉田賢治くん(14)は「ほとんどの同級生が家でも家族とピロリ菌について話しているみたい」と反響の大きさを語っていた。市健康増進課によると、感染検査を受けた生徒のみならず、その家族や周囲にも、ピロリ菌による将来の病気のリスクを知ってもらい、適切な健康管理につなげていくことが目的という。
このピロリ菌検査の無料実施については、赤木議員が2016年9月の市議会定例会で、中村五木市長に対して早期実現を要望。中村市長は、17年度から中学校の健康診断と同時期に実施することを約束していた。
https://www.komei.or.jp/news/detail/20170616_24597