2017/06/18【鳥インフルエンザ】韓国で「鳥インフルエンザ」発生、終息……から2日後に再発した背景
【鳥インフルエンザ】韓国で「鳥インフルエンザ」発生、終息……から2日後に再発した背景
鳥インフルエンザが韓国各地で発生している。終息直後の季節外れの発生で、感染源が究明できないなか、政府や自治体は拡散防止に追われている。
発生地域が分散
はじめに鳥インフルエンザが確認されたのは済州島だ。島内の市場で烏骨鶏5羽が死に、さらに育てていた鶏3羽も死んだことから地元の農家が通報。韓国農林畜産食品部の精密検査でH5N8型高病原性鳥インフルエンザと確定したが、これまで島内では鳥インフルエンザは発生しておらず、2017年5月27日以降、全羅北道群山市の種鶏農場から流通会社を通じて入手した若鳥が疑われた。
済州道は、鳥インフルエンザが検出された地域の農家が保有する59羽に加え、拡散を予防するため、周囲3km内の農家が飼育する家禽類11万9681羽の殺処分を決定。道内全域で100羽未満の小規模農場に対する家禽類を買い上げることとした。
調査の結果、群山市でも鳥インフルエンザが確認されている。全羅北道は発生を受け、6月3日に群山市の農家から供給された道内の烏骨鶏を全て殺処分。釜山市も簡易検査で陽性反応が出た農家の鶏、アヒル、烏骨鶏4228羽を殺処分して埋却し、ソウル近郊の京畿道坡州市でも殺処分が行われた。
全羅北道の益山や全州、慶尚南道の梁山や蔚山市でも鳥インフルエンザが確認されているが、2017年6月15日の国際獣疫事務局(OIE)の発表では感染源は不明となっている。
終息から2日後の再発
鳥インフルエンザの再発は、政府による実質的な終息宣言から、わずか2日後のことである。
2016年11月23日、韓国政府は同月16日に高病原性鳥インフルエンザ(H5N6亜型)が発生したと国際獣疫事務局(OIE)に緊急報告を行った。大統領のスキャンダルで、コントロールタワーを失った政府の対応は後手に回り、防疫地域に指定された地区は166カ所に上った。家禽類3787万羽を殺処分し、卵の値段が暴騰した。
殺処分や消毒で鳥インフルエンザは沈静化し、2017年5月13日の全羅北道益山市を最後に発生から6カ月目で韓国農林畜産食品部はすべての制限を解除して、5月末まで警戒したあと、6月1日から防疫体系を平時の水準に切り替えた矢先の再発である。
専門家は、ウイルスの変種を懸念する。鳥インフルエンザウイルスは寒さを好む特性があり、渡り鳥が飛来する冬季と初春に発生しやすい。高温多湿な夏は死滅するのが一般的だが、今回の発生は初夏で、季節に関係なく年中常時化する危ぐがあるという。
韓国政府は高病原性鳥インフルエンザの再発で、ウイルスの大規模な家禽飼育施設や飼育団地への流入を警戒する。李洛淵(イ・ナクヨン)首相の主宰で関係閣僚会議を開き、さらに強化した防疫を行うため、鳥インフルエンザの危機警報を最も高い「深刻」レベルに引き上げる方策で、韓国中央日報は、文在寅政権の危機対応を試す初めての試験台とみる。
韓国では夏バテ防止に参鶏湯を食べ、チキンとビールを楽しむチメクも需要が増すなど、鶏料理の需要期となる。済州島など地鶏と烏骨鶏など郷土料理として観光客を呼び込んでいる地域もあり、済州観光協会本部は「サードの影響で中国人団体観光客の数が回復していない状況で、鳥インフルエンザで地域イメージも打撃を受ける」と憂慮する。
ウイルスの感染地域が分散し、正確な感染・流通経路が把握できないなか、拡大への懸念が広がっている。