【トキソプラズマ】阪大、寄生虫トキソプラズマなど病原体に対する免疫反応に重要な因子を同定 /大阪
日本医療研究開発機構(AMED)は、大阪大学 微生物病研究所の山本雅裕教授らの研究グループが、Gate-16(ゲート16)と呼ばれる宿主分子が、病原体含有小胞を形成する寄生虫「トキソプラズマ」や細菌「サルモネラ」のインターフェロンによる効率的な排除に必須であることを発見たことを発表した。この成果は、英国の科学雑誌「Nature Immunology」に6月12日付でオンライン掲載された。
寄生虫「トキソプラズマ」や「サルモネラ」などの多くの病原体は、感染した宿主細胞内では、まず「病原体含有小胞」に包まれた状態で存在し、宿主による分解を逃れている。こうした病原体に対し人間は、インターフェロンに依存した免疫反応を起こし、病原体含有小胞を破壊して対抗している。
研究グループは、インターフェロンによって誘導されるGBPが病原体含有小胞を破壊し、トキソプラズマの発病を抑えていることを2012年に明らかにしているが、この免疫反応がどのように効率的に制御されているのかについては良くわかっていなかった。
今回の研究で、正常細胞内では抗病原体因子GBPが細胞内にバランス良く配置されていることや、ゲノム編集法で作製したGate-16欠損細胞ではGBPが細胞内で凝集し不均一な配置となることで、トキソプラズマやサルモネラの病原体含有小胞上への蓄積率が低下し、病原体の効率的な排除が出来ないこと、そしてGate-16欠損マウスでは、GBPの病原体含有小胞への蓄積が低下し、トキソプラズマ感染に劇的に弱くなることが明らかになった。
この成果について同グループは、近年、日本国内においても症例報告が増加しているトキソプラズマ症やサルモネラを原因とする食中毒に対して、Gate-16を標的とした新規治療戦略を提供できるものとして期待されると説明している。
http://news.mynavi.jp/news/2017/06/26/077/