【肝炎】子どもの肝炎 手ひらの症状を見逃さないために
子どもの肝炎には、大人にも見られるB型やC型などのウイルス性肝炎に加え、原因が未だはっきりしていない新生児肝炎などがあります。このような肝炎による肝機能障害のサインとして、手足や眼、体幹などに症状が出ることが少なくありません。ここでは、手のひらに現れる症状について解説します。
手のひらに現れる肝機能障害のサインとは? 手のひらに現れる肝機能障害の自覚症状として有名なものは、「手掌紅斑(しゅしょうこうはん)」と「黄疸(おうだん)」の2つです。
手掌紅斑は、手のひらの中でも主に親指の付け根の膨らみや子指の付け根の膨らみが斑状に赤紫になった状態を指します。
黄疸は、手のひらを含めて皮膚や白目の部分が黄色くなった状態のことです。初期で黄疸がはっきりしない場合でも、手のひらや足の裏をぎゅっと握ると黄色い縦線を認めることがあります。
肝炎に見られる手の症状の原因は? 肝臓は黙々と働いているため「静かなる臓器」と表現されることもありますが、代謝、解毒、胆汁分泌という人体にとって非常に重要な役割を果たしています。
手掌紅斑の原因は、肝機能障害により肝臓でエストロゲンの処理ができず、血中のエストロゲン濃度が上昇するためと考えられています。エストロゲンは血管を拡張させる作用があるため、エストロゲンが上昇すると手および胸の上部や首、上腕の毛細血管が拡張し紅斑が現れることがあります。しかし、手掌紅斑は、感染症や自己免疫性疾患、エストロゲンが上昇する妊娠や経口避妊薬を内服中の女性にも生じることがあるため、必ずしも肝炎による症状とはいえません。
黄疸は、黄色い色素であるビリルビンの代謝が肝臓で正常に行われないことが原因です。通常赤血球が分解されたときに生じるビリルビンは肝臓で解毒され、胆汁中に排泄されます。しかし、肝機能が低下するとこの解毒・排泄機能がうまく働かず、ビリルビンが血中に増加して黄疸を生じます。
手の症状に気づいたら 新生児肝炎の多くは長引く黄疸をきっかけに診断され、1カ月健診で指摘されることが多々あります。しかしその原因や予後は多岐に渡り、注意深い経過観察が必要です。
ウイルス性肝炎は日本に感染者が多く、母子感染が問題となるB型・C型肝炎に関しては出産前にスクリーニング検査が行われます。母子感染の場合は慢性化しやすいため、新生児に対してもウイルスを排除するインターフェロン治療が考慮されます。
前記した手のひらの症状に気がついたら、肝炎を含む肝機能障害が背景に隠れているかもしれません。早めにかかりつけの小児科に相談しましょう。