【ペットの感染症】夏場、猫の飼育で気をつけることは? 獣医師が解説
エジプト出身の猫は暑さに強い動物であると信じられていますが、そんな猫にとっても日本の高温多湿は辛いようです。夏本番になると、日陰で伸びきった猫の姿がいたるところで確認されるようになります。私たちも夏は体調を崩しやすいですが、それは猫も同じです。夏を乗り越えるに当たって注意すべきポイントを解説致します。
猫の熱中症は非常に危険
熱中症は死に至ることもあり、決して侮ってはいけない病気。猫は犬のように散歩中や運動中に熱中症になることは少ないですが、室内で発症することが多いのが特徴です。
特に留守番中に冷房が弱かったり、換気ができていないと危険。日中、想像以上に室内が暑くなると猫は逃げ場がなく体温コントロールをできません。また留守中に倒れた場合、発見までに時間がかかるためそのまま亡くなってしまう危険性があります。
熱中症の危険性が高い猫
つぶれた鼻が特徴のペルシャやヒマラヤン、エキゾチックショートヘアなどは、鼻から熱を発散しづらく、リスクが高いと考えられています。また人の熱中症の死亡例でも65歳以上が半数を超えるように、高齢猫も危険です。愛猫が10歳を超えているようであればこれまで以上に気遣ってあげましょう。
熱中症の予防
日中、窓を閉め切ると想像以上に室温が上がります。防犯上の理由などで留守中に窓を開けて換気できない場合は冷房を入れましょう。猫は28度前後が最も過ごしやすい温度といわれていますので、28度に冷房をセットしてください。
そのほかには猫用のクールマットなどを用意してあげると良いですが、単体では十分な対策とはいえません。また、トイレやクローゼットなど冷房が届かない場所に猫が閉じ込められないようにドアストッパーを設置するか、猫が入らないように閉じておくのも大切です。
夏の感染症
春から秋にかけては虫が増える季節です。外に出る猫はもちろん、室内飼育でもベランダやお庭がある家庭ではノミ・ダニの予防をしておいた方が良いでしょう。
また犬の病気と考えられていたフィラリア症(犬糸状虫症状)が猫でも発症することがわかっています。猫でも重度の肺炎により、突然死を引き起こす危険性があります。フィラリアは蚊が媒介する病気なので、室内飼育でも予防が推奨されます。
お水、食事の管理
室温が高いと水や食事も傷みやすくなります。お水は必ず1日2回以上は交換し、また水分をたくさん摂取できるよう複数箇所に設置しましょう。
ウェットフードは出しっ放しだと傷むだけでなく、虫が増える原因にもなります。愛猫が一度に食べきれないタイプであれば朝はドライフード、夜はウェットフード、といった形で対応するのがオススメです。
まとめ
暑さによる体力の消耗、虫などの感染症、食事の注意。これらのことに特に気をつけてあげてください。また通院している猫は病院への移動中が思わぬ落とし穴です。キャリーケースの中は熱がこもりやすいので、保冷剤をタオルに巻いて一緒に入れると良いでしょう。猫と一緒に元気に夏を乗り切りましょう。