2017/07/13【食中毒対策】夏特有の細菌にご注意! 飲食店が食中毒予防のために知っておきたい
【食中毒対策】夏特有の細菌にご注意! 飲食店が食中毒予防のために知っておきたい
『HACCP』に準じた衛生術
夏本番が近づき、飲食店経営者は特に気を引き締めたいのが食中毒の予防だ。飲食店にとって致命的な食中毒被害は、当然のことながら徹底して防ぐ必要がある。独自の対策はもちろんだが、加えて食中毒予防等のために推奨されている「HACCP(ハサップ)」という管理法を取り入れてみてはいかがだろう。
注意すべき夏特有の食中毒とは?
通年で注意したい食中毒だが、梅雨から夏にかけては特に配慮が必要。この時期に増加する食中毒は、以下のような細菌が原因となる。
■O157(腸管出血性大腸菌)
主に加熱が不十分な食材から感染し、感染症や食中毒を引き起こす強い毒性を持つ。感染して数日後には下痢、腹痛、発熱などの症状が現れる。加熱に弱い菌なので、加熱することで予防できる。家畜の大腸に生息しており、生レバーなどには特に要注意。
■カンピロバクター
汚染された水、食品、そして細菌を持つ動物との接触によって感染する。豚や鶏などの家畜が細菌を持っていることが多く、なかでも鶏による感染が最も多いと考えられているため、生の鶏肉を食べる際には要注意。65℃で1分間加熱すれば、死滅させることができるといわれている。
■サルモネラ
人間や動物の消化管に生息しており、感染すると半日~数日で腹痛、嘔吐、下痢など、風邪と似た症状が現れる。食肉や卵の場合、十分に加熱することで防ぐことができる。
■黄色ブドウ球菌
人間の喉や鼻の中、動物の皮膚、ホコリ内など、身近なところに存在している。さまざまな食べ物の中で増殖し、感染すると吐き気、嘔吐、腹痛などの症状が現れる。加熱しても毒性が消滅しないので、食品内での菌の増殖を予防することが重要。
飲食店が着目すべき「HACCP」とは?
飲食店関係者であれば、「HACCP」という言葉を耳にしたことがあるのではないだろうか。HACCAPを衛生管理を行なうための「設備」や「機器」だと誤解している人もいるようだが、HACCAPは衛生管理を行なうための「方法」であり、日本では厚労省の設定した制度を指していることが多い。食品産業の中にHACCPを導入すべく、厚労省が食品衛生法の中に「総合衛生管理製造過程」という形でHACCPを採用したからである。
ちなみにHACCPには「リテイルHACCP」というジャンルが存在し、レストランやバーなどの飲食店は、この「リテイルHACCP」に沿って衛生管理を行っていくことになる。
HACCPによる調理環境の衛生管理方法
HACCPの軸となるのは、一般的な衛生管理によって成立する衛生的な「場所」と、そこを土台として、調理過程でさらに安全性を追求することである。
衛生的な場所を成立させるには、以下のような一般的衛生管理の10項目を徹底することが基本だ。
・設備の整備と衛生管理
・従事者の衛生教育
・施設整備、機械器具の保守点検
・そ族昆虫の駆除
・使用水の衛生管理
・排水及び廃棄物の衛生管理
・従事者の衛生管理
・食品等の衛生的な取扱い
・製品の回収プログラム
・製品等の試験検査に用いる設備等の保守管理
そしてこの項目を遵守するためには、頻度の徹底、担当者の設定、そして確認や記録などの作業も重要となる。例えばキッチンの清掃にしても、まずは明確な担当者と、「毎日」という頻度を設定。そして実施後は掃除をした本人以外が確認をする。さらにチェックリストなどを作成して、清掃した旨を記録していく。こういったマニュアルを徹底することが、食中毒の回避につながるのである。
調理過程でさらに安全性を追求
衛生的な場所を成立させたら、次は調理工程での安全性の追求だ。有効な方法は、各調理過程ごとに想定できるリスクをあげていくこと。
例えば材料の「保管」フェーズでは、冷蔵庫の温度が高い、冷蔵庫が汚れていることによる汚染、「盛りつけ」フェーズでは、添える野菜の細菌汚染や盛りつける皿の細菌汚染などを疑っていく。これをベースに日々点検を行い、適切に管理するのだ。
この時期の飲食店には必要不可欠となる食中毒対策。店長はもちろん、従業員全員が共通意識を持ち、店一丸となって取り組んでほしい。
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