2017/08/22【腸管出血性大腸菌:O157】O157対策 冷蔵庫で保管し早めに食べて
【腸管出血性大腸菌:O157】O157対策 冷蔵庫で保管し早めに食べて
埼玉県熊谷市の総菜店で加工販売されたポテトサラダを購入した6人から腸管出血性大腸菌、O157が検出され、5歳の女の子が、急性腎不全などを引き起こす症状を発症して意識不明となっています。専門家は、O157は抵抗力の弱い子どもやお年寄りは重症化しやすく命を落とすこともあるとしたうえで、菌の増殖を抑えるため冷蔵庫で保管し、なるべく早く食べるなどの対策を呼びかけています。
東京都健康安全研究センターの石井健担当課長は、O157は、感染してから発症するまでに1週間前後の潜伏期間があり、激しい腹痛や下痢を引き起こし、子どもや高齢者の場合は合併症を起こして死亡するケースもあると指摘しました。そのうえで、「今回のポテトサラダのような加熱をせずに食べる総菜の場合、なかなか感染を防ぐことは難しい」と述べました。
一方で、私たちができる予防策として、帰宅したら冷蔵庫にすぐに入れて10度以下で保管し、菌の増殖を抑えることが重要だと述べました。また、冷蔵庫の上段には生肉や生魚を置かず、下段に置くことによって、ほかの食物に菌が付着するのを避けることができるうえ、冷蔵能力を落とさないように冷蔵庫に入れる量は、7割程度を目安にするよう求めています。
さらに、総菜を自宅に持ち帰る際には、総菜を生肉や生魚と一緒にせず、袋を使って小分けにすることや、総菜は保冷剤を使って温度が上がりすぎないように気をつけることなど、細かな気配りが重要だと話していました。
野菜にも注意を
食中毒などの専門家は、気温が高くなるこの時期、肉だけでなくサラダや野菜を使った料理で食中毒が起きることがあるとして、家庭では野菜についた土を十分に洗い流すなどの対策を取るよう呼びかけています。
感染症や食中毒について詳しい東京慈恵会医科大学の浦島充佳教授は、気温が高くなる夏のこの時期、食中毒には細心の注意が必要だと話しています。そのうえで、「腸管出血性大腸菌のO157などは、肉に付着して感染源になることが多く、肉を十分、加熱しなければならないことは知られているが、野菜が意外な落とし穴になっている。生野菜や、食べる直前に加熱しないサラダ類による感染例も多く報告され、増えた細菌によって重い症状を招くこともある」と指摘しています。
食中毒を防ぐ対策としては、「野菜についた土などにO157が含まれることがあるので、土をよく洗い流して使ってほしい。また、O157は4度以下の場所では増えにくいので、野菜やサラダは冷蔵庫で保管し、心配な場合は加熱してから食べるようにしてほしい」と話しています。
O157とは
O157は、「腸管出血性大腸菌」と呼ばれる大腸菌の1種で、主に、牛や羊などの家畜の腸の中にいます。
わずか100個ほどの菌でも発症するほど、感染力が強いのが特徴で、人には、汚染された水や食べ物が口の中に入ることなどで感染し、1週間ほどの潜伏期間の後、激しい腹痛や発熱、それに、血便などの症状が出るのが特徴です。
通常は2週間ほどで回復するとされていますが、発症した人の7%ほどは症状が現れて、2週間ほどの間に大腸菌が出す毒素の影響で、脳症のほか、意識障害や腎不全などを引き起こす溶血性尿毒症症候群を発症するとされ、死亡例も報告されています。
国内では毎年、O157などの腸管出血性大腸菌感染症の患者が3000人から4000人ほど報告されていて、平成8年には大阪府堺市で9500人余りが集団感染し、半年のうちに小学生3人が亡くなる事態となりました。
専門家によりますと、感染を予防するためには、食品を十分、加熱したり、調理後の食品は、なるべく食べきるなどの対策が必要なほか、調理を行う人は体調管理や手洗いなどの徹底、それに、生肉とサラダなどの調理を同じ場所で行わないなどの対策も必要だということです。また、腹痛や発熱など、疑わしい症状が出た場合は、早めに医療機関を受診して経過を見ることが大切だということです。
http://www3.nhk.or.jp/ne…/html/20170822/k10011107491000.html