2017/08/23【衛生管理】動物カフェ人気もフクロウカフェの衛生面に懸念 『オウム病』に感染する可能性指摘
【衛生管理】動物カフェ人気もフクロウカフェの衛生面に懸念 『オウム病』に感染する可能性指摘
床に糞が飛び散り…一部のフクロウカフェ、不衛生&乾燥した糞吸い込みで病気の危険
フクロウカフェやヘビカフェ、ハリネズミカフェなど、珍しい動物と触れ合える“動物カフェ”が昨今、人気を集めている。
だが、動物が放し飼いにされている環境ということで、衛生面は大丈夫なのかと不安に思う人も多いだろう。
どのような環境で飲食物が提供されているのか。実際に都内の某フクロウカフェに足を運んだ。
●フクロウと同じ空間で飲み食いできるのがウリ
外観は一般的な“オシャレな喫茶店”という風情。店内に入ると、接客スペースの中央に長さ1~2m程度のフクロウ用のとまり木があり、そこには数羽のフクロウがおとなしくとまっている。
部屋の壁沿いには客用のソファと低いテーブルが置かれており、席に座ろうとすると、その背もたれにも1羽、見上げると天井付近のとまり木にも1羽、フクロウがとまっている。飲食をする客テーブルもフクロウの行動範囲内のようだ。
店内は、ほかに家族連れが1組おり、すでに飲食が終わっているのか、席を離れて部屋の中央にいるフクロウと戯れている。
部屋を観察しているうちに、注文したコーヒーが運ばれてきた。一見、普通のソーサーとカップが運ばれてきたが、カップにはフタがついており、飲むときだけフタを開けるようになっている。フクロウは頻繁に羽を広げるので、その羽がカップに入らないようにするための策といったところだろう。
このように、対策はされているようだが、フクロウが近くにいる状況で飲食をしなくてはならず、とまり木付近の床には糞も散見され、お世辞にも清潔なフロアとはいえない。本当に衛生面は大丈夫なのだろうか。食品安全教育研究所代表の河岸宏和氏はこう話す。
「フクロウカフェの環境は、空気中に舞い上がった菌を含む乾燥した糞便を吸い込むことで『オウム病』に感染してしまう可能性も否定できません。いくら店内がキレイに見えても、餌の容器などを洗うシンクと、喫茶に使用するシンク、洗い場は別に設けて、交差汚染することも避けられる設備がないといけませんが、その対策をしているのかどうかは顧客からは確認できないので、安全と言い切ることはできないでしょう」
●動物カフェはあくまで動物展示施設扱いの店舗も多数
オウム病とはいったいどんな病気なのか。内科医の星野慈氏は、次のように説明する。
「オウムやフクロウのほかに、インコやカナリアなどの一般的に飼われている種類の鳥も含む約140種類の鳥類が感染源となる病気で、それらの鳥の約30%はオウム病に感染しているといわれています。オウム病の鳥と接触することでヒトにもうつり、1~2週間の潜伏期間の後、熱やせき、関節痛など、百日咳やマイコプラズマ肺炎に似た症状が出ます。健康な体であれば重症化するケースは稀ですが、妊婦さんや高齢者など免疫が弱い人に感染すると重篤な症状となることもあります」
フードアナリスト1級の資格も持っている星野氏は、フクロウカフェの衛生管理面にも疑問を呈す。
「カフェをオープンするときは、普通、食品衛生管理者などの届け出によって保健所より営業の許可を得なくてはいけませんが、動物カフェのような営業形態の場合は『動物愛護及び管理に関する法律』の規制の範囲内となるので、それぞれの動物カフェが食品衛生法に則っているかや保健所の許可を得ているかは明確ではないようです。そのため、衛生管理面で感染症が予防できているかは、グレーゾーンといえるでしょう」
フクロウカフェは、きちんと食品衛生管理の許可を取っているのだろうか。前述の店舗の店長に話を聞いた。
「うちの店は、飲食店として保健所より営業の許可を得ています。ただ、フクロウカフェの多くはカフェと名乗っているだけで、ペットボトルなどを販売するだけの『動物を展示する施設』という扱い。したがって、保健所の審査を通っているわけではないですね。一口に“カフェ”といっても、飲食店と動物展示施設で分かれているのが実態です」
このように、飲食店としての営業許可が下りている店と、そうでない店があるようだが、営業許可を得ている店でも、前述の通り空気感染する病気もあり、その対策のためにしっかり衛生管理しているかどうかは、その店舗任せとなっているのが現状だ。
フクロウなどの珍しい動物は非常に愛らしいし、接するとテンションが上がる。しかし、動物を扱っている以上、絶対に安全・安心と断言することは難しいようだ。