【毒キノコ】県内キノコ食中毒、5年連続全国最多 ツキヨタケ誤食が8割
キノコ狩りのシーズンを迎えた。県内での毒キノコによる食中毒発生件数は2012年から昨年まで5年連続で全国最多となっている。特にツキヨタケとクサウラベニタケを誤って食べるケースが多く約8割を占める。県食品安全衛生課は「食べ合わせで毒が消える」などの迷信や経験に基づく過信も多発の要因と分析する。「迷ったら採らない」「不安を感じたら食べない」、自己防衛の意識が大切だ。
県内のキノコ食中毒件数は12年に14件(患者数46人)で全国最多になって以降、毎年5~7件(同10~20人)で推移している。2位は新潟、秋田などが入れ替わっている中で、本県の1位は不動の状態。今年も既に南陽市でクサウラベニタケによる食中毒が1件(同6人)発生した。
県内のキノコ食中毒の原因は、ツキヨタケが約6割でクサウラベニタケが約2割。県は両キノコを中心に見分け方などの啓発を続けるが、誤食は絶えない。昨年は7件すべてがツキヨタケによるものだった。
ツキヨタケはシイタケ、ムキタケ、ヒラタケなどの食用キノコと間違えやすい。クサウラベニタケは、食用のハタケシメジ、ウラベニホテイシメジなどと似ている。両毒キノコとも、下痢や嘔吐(おうと)などの症状を引き起こし、加熱しても毒性はなくならない。
ツキヨタケは軸の部分を縦に裂いた時に見える黒っぽい染みが特徴で、ひだの付け根にリング状の突起もある。クサウラベニタケは軸の中心が空洞になっており、細くもろい。
ただ、特徴は見分けにくい場合もあり「迷ったら採らないこと」と同課は強調する。「ナスと一緒に調理すれば食べられる」、「虫が食べたものは大丈夫」などは迷信で「科学的根拠がない」と断じる。
「長年の経験」を基に採った毒キノコが、お裾分けなどで広がり、被害者数を大幅に増やすこともある。自分でキノコを採らない人も、最低限の知識を持った上で「不安を感じたら食べないこと」が必要としている。
また、群生する食用キノコに毒キノコが混ざっている場合もある。原木栽培のシイタケと一緒にツキヨタケが生えてきたこともあり、「一つずつ確認することが大事」と同課は話す。触れただけで炎症を起こす猛毒のカエンタケも県内で確認されており、注意を呼び掛けている。