【HIV】健康診断でHIV検査 厚労省が来年度から試行
厚生労働省は2018年度から、健康診断の受診時に無料でエイズウイルス(HIV)検査を受けられるモデル事業を始める。検査を受けやすくし、早期発見や発症防止を通じて感染拡大の防止に取り組む。本人以外に結果が伝わらないようプライバシーにも配慮する。
HIVに感染すると数年でエイズを発症し、同時に体の免疫機能が弱くなる。しかし発症前に感染が分かれば治療で発症を抑えることができ、感染の拡大を防ぐことができる。
18年度から東京や大阪などの都市部で、病院などに併設される「健診センター」にHIV検査を委託。診断のメニューに関係なく誰でも無料でHIV感染の有無を調べる血液検査を受けられるようにする。健診センターは健康診断や人間ドックなどが受けられ、30~50代の現役世代が多く利用している。
厚労省は18年度予算の概算要求に約2800万円計上。「どの程度の人が利用するかは分からない」としているが、試験的に数カ所で始め、検査の実施状況を見ながら他都市にも広げる。
現状も保健所でHIV検査を無料で受けることができる。しかし土日の検査日が少なく、平日に働く人にとって利用しにくいことが課題だった。健康診断と一緒に受けることで心理的な抵抗感も薄くなり、検査する人が増えるとみている。
プライバシーに配慮し、健診の結果とは別の形で本人にHIVの検査結果を通知する仕組みを検討している。
厚労省のエイズ動向委員会によると、16年に新たに報告されたHIVの感染者数は1011人。エイズの新規患者は437人だった。
新規のHIV感染者、エイズ患者ともに感染経路は性的接触によるものがほとんど。HIV感染者のうち、全体の約73%(735人)が同性間の性的接触による。感染者の年齢別では特に20代や30代の若年層が目立つ。
エイズの場合、患者は30代以上が多く、50代以上が全体の約29%を占めた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22856560Z21C17A0CR8000/