【真菌症】30年前に感染の真菌症 70歳で発症し精神錯乱 日本でも増加
30年前に旅先で感染した真菌症が、70歳になって発症するという珍しいケースが米国で報告された。「ヒストプラスマ症」といって、患者の男性は錯乱状態になり、検査の結果、両方の副腎に悪性腫瘍が転移し、脳にまで感染が広がっているおそれがあることが判明した。
国立感染症研究所によると、「ヒストプラスマ症」は輸入真菌症のひとつで、最近国内での感染を疑う患者が報告されている。世界中の熱帯、亜熱帯、温帯地域で発生しており、特に米国のミシシッピ川流域では報告が多い。
ヒバリやコウモリなどの糞が多い土壌に生息する菌で、日本国内で報告があった27件の感染例のうち、1件は米テキサス州の黒人から腎臓移植を受けた患者が全身性ヒストプラスマ症を発症して死亡したケースと、もう1件はアマゾンの洞窟内の探検取材を行ったテレビ取材班8人全員が感染したケースだ。
英国医師会が発行する「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」に最近公表された症例報告によると、アリゾナ州に住む70歳の男性は、意味不明な言葉を口走るなど錯乱状態になって、アリゾナ大学健康科学センターに搬送。急遽、脳のCTスキャン検査を実施した結果、悪性腫瘍ができている可能性を示す病変が確認された。
詳しい検査を行ったところ、左右の腎臓のそばにある副腎に腫瘍を発見。細胞を採取して病理検査した結果、ヒストプラスマ症の典型的な症状である肉芽腫ができていることが明らかになった。
患者は30年前にノースカロライナ州を短期間旅行したことがあり、旅先で真菌の胞子を吸い込んだ可能性が高いという。米疾病予防管理センター(CDC)によると、真菌の胞子を吸い込んだからといって、誰もが感染するとは限らないが、この患者の場合、1986年に心臓移植を受けていたことから、免疫機能が弱まり、感染リスクが高かったという。
アリゾナ大学のアネイラ・マジード博士は、「精神的な混乱も、感染が脳に広がっている可能性がある」と指摘し、抗真菌薬を投与して治療を進めている。