【デング熱】デング熱、予防接種で重症化の可能性 臨床試験で判明
仏製薬大手サノフィパスツールの開発したデング熱のワクチンが、患者の症状を悪化させてしまう可能性があることがこのほど明らかになった。これを受けフィリピン政府は、同ワクチンを使った大規模な予防接種キャンペーンを中止した。
問題が指摘されているのはサノフィのデング熱ワクチン「デングワクシア」。同社が11月29日に公表した臨床試験データによると、過去にデング熱のウイルスに感染したことのない患者が、デングワクシアを接種された後にデング熱に感染すると、症状が重症化する可能性があることが分かった。
一方、過去に感染したことのある患者に対しては予防効果があると強調している。
フィリピンの大統領報道官は4日、デングワクシアが前政権によって短期間で承認された経緯について司法省が捜査に乗り出すと表明。保健省は教育省と連携して、予防接種を受けた全員の健康状態について経過観察を行うと発表した。
フィリピンでは2016年4月以来、73万人以上がデングワクシアの接種を受けている。
世界保健機関(WHO)は同年7月に公表した論文で、デング熱に感染したことのない人がワクチンを接種されると、リスクが増大したり、症状が重症化したりする理論的な可能性があると警告していた。
それにもかかわらず、フィリピンでは先週まで予防接種の呼びかけが行われていた。
デング熱はネッタイシマカが媒介する感染症で、WHOでは、世界の人口の約半分にウイルス感染のリスクがあると推計。
年間の感染者は3億9000万人に上る。
フィリピンでの状況を受けサノフィは「ラベル表示の改訂」を提案。新たな表示により、デング熱に感染したことのない人にはワクチンを接種しないよう勧告するとしている。
https://www.cnn.co.jp/fringe/35111440.html