2018/06/05【麻疹:はしか】はしか対策「平時の発想ではだめ」 福岡市、保育関係者にワクチン接種 /福岡県
【麻疹:はしか】はしか対策「平時の発想ではだめ」 福岡市、保育関係者にワクチン接種 /福岡県
福岡市は4日、市内の保育関係者を対象に、はしか(麻疹)ワクチンの接種を始めた。流行が続く中、特に感染した場合のリスクが高い乳児や、その保護者を守る。認可外も含めた市内の保育施設全650カ所で勤務する50歳以下を対象に、5千人分の予防用ワクチンを確保し、順次接種を進める。
4日午前、福岡市博多区の「ながら医院」で近くの中比恵ソレイユガーデン保育園に勤務する保育士や職員ら6人がワクチン接種を受けた。
0歳児クラスを担当する保育士の仲本茉子氏(20)は、過去のワクチン接種歴が1回だった。「体調管理は徹底しているが、改めて接種したことで安心感が生まれる」と語った。
はしか予防には、ワクチンを2回、少なくとも1回接種する必要がある。
福岡県内では5月2日以降、はしかの感染報告が相次ぐ。6月4日までに19人が感染した。このうち福岡市内の感染者は11人で、3人が生後2~7カ月の乳児だった。
若者が集まる福岡市は、生まれる赤ちゃんの数も、全国の政令指定都市の中で2位だ。一方、中国をはじめ、はしかが流行しているアジアからの旅行者も多い。
若者やインバウンドの多さは、福岡市の大きな強みだが、はしかに限ってはリスクになる。
市は、保育施設での感染拡大を危惧した。子供の命に関わるだけでなく、保育所運営に支障が生じれば、保護者にも影響が出る。
とはいえ、ワクチン確保は簡単ではなかった。
今年の全国的な流行で、予防接種の希望者が相次ぎ、一部で需給バランスが崩れる兆しがあった。同市南区の小児科医は「在庫が足らず、原則として予約を断らざるを得ない状態だ」と明かした。
市は厚生労働省にも協力を求め、ワクチン確保を進めた。医師で、市保健予防課の山本信太郎課長は「保育施設で集団感染が発生してからでは、手遅れになってしまう。乳児の感染状況で、厚労省と危機感を共有できた」と振り返った。
並行して、制度設計を急ピッチで進めた。保育士らに自己負担が生じないよう、保育事業者と市が費用を半分ずつ負担する仕組みを整えた。約2500万円の事業費は、予備費などからかき集めた。
保育事業を担当する市子育て支援部の山下雅孝課長は「災害対応と同じで、平時の発想ではだめだとの姿勢を徹底した」と語った。
http://www.sankei.com/reg…/news/180605/rgn1806050026-n1.html