【公衆衛生】西日本豪雨 「感染症に気を付けて」避難所生活や復旧作業
避難所での集団生活や、土ぼこりが舞う屋外での復旧作業が長引くと、呼吸器疾患のリスクは高まる。ぜんそく患者は特にマスク着用や手洗い、うがいの励行、部屋の換気、床をぬれた雑巾で拭くなどの予防策が欠かせない。日本呼吸器学会は「症状が落ち着いていても環境の変化やストレスで症状が出る可能性もある」と、定期的な薬の服用を呼び掛けている。
避難所での偏った食事やストレスは抵抗力を奪う。埼玉医科大が宮城県気仙沼市で行った調査によると、2011年3月の東日本大震災直後、インフルエンザの流行はなかったのに、肺炎による入院患者は高齢者を中心に通常の6倍、死者は9倍にも増えた。
さらに夏場には、食中毒や手足口病などの感染症が広がりやすい。日本環境感染学会は、こまめにせっけんと流水で手を洗う▽タオルの貸し借りは避ける▽せきやくしゃみをする時は口と鼻をティッシュや肘の内側で覆う--などと求める。屋外作業時は、土ぼこりに含まれるレジオネラ菌などをマスクで防ぎ、破傷風などから肌を守る対策が必要だ。蚊やダニなどの虫よけも欠かせない。
中島一敏・大東文化大教授(感染症疫学)は「普段なら抑えられる病気でも、抑えにくくなるのが災害現場。十分な食事と適度な運動を心掛けてほしい」と指摘する。
眼病の訴えも相次ぐ。日本眼科医会と岡山県眼科医会は15~16日、同県倉敷市真備町地区の2カ所の避難所で無料の出前診療をした。受診した92人のうち、半数以上が結膜炎、4人が角膜炎と診断された。診察した日本眼科医会の浅井利通理事は「汚れた手で目を触らないように気を付け、屋外作業中はできればゴーグルを着けてほしい。異常を感じたら医師に相談を」と呼び掛ける。