【ライム病】野山の散策には要注意! マダニを媒介して感染する「ライム病」
アメリカのコネチカット州ライムで初めて流行したので「ライム病」と名づけられたこの病気は、マダニが伝搬する感染症です。
カナダ人ロック歌手アヴリル・ラヴィーンさんがライム病に感染して、5か月間寝たきりの闘病生活を告白したことは記憶に新しいかもしれません。
日本での発症例は多くありませんが、アウトドアを満喫できるシーズン、キャンプや登山、野山や河川敷などで遊ぶときには、虫刺され対策を怠らないようにしましょう。
ライム病とはライム病(Lyme disease )は世界中で発症している感染症です。とくに、北アメリカやヨーロッパからアジアにかけての温暖な森林地帯に多く見られます。
欧米では年間数万人の患者が報告され、年々患者数が増加していて社会問題にもなっているようです。
日本では、1986年に初めて患者が報告されて以来、北海道や長野県、そして都内など本州中部以北で数百人程度の発症が確認されています。
ライム病を引き起こす病原体は、スピロヘータ科のライム病ボレリアで、野山に生息するマダニに噛まれることで媒介・伝搬されます。
日本ではシュルツェ・マダニという種に刺咬されて発症するケースがほとんどだそうです。
一般家庭にいるダニで感染することはないとされています。
また、人から人へうつることもありません。
ライム病の症状
3~32日ほど潜伏期間を経た後、多くの場合、遊走性紅斑(ゆうそうせいこうはん)と呼ばれる症状が出ます。
マダニに噛まれた部位に赤い丘疹(きゅうしん:皮膚から隆起する米粒大の発疹)ができ、環状に紅斑が広がっていきます。
それに伴って、頭痛・発熱・悪寒・関節痛・筋肉痛・全身の倦怠感などの症状が現れます。
病原体が全身に広がると、首筋の硬直、重度の頭痛、噛まれた部位以外での発疹、関節の腫れ、動悸や不整脈、めまいや息切れ、神経痛、手足のしびれや痛み、脳や脊椎の炎症、記憶障害などさまざまな症状も引き起こされます。
感染から数か月ないしは数年を経て重症化したケースでは、皮膚症状や関節炎、脊椎脳炎などが悪化して、死に至ることもあると言います。
また、治療の遅れから、皮膚や関節などに後遺症が残る場合もあるようです。
ライム病の診断と治療
欧米では、マダニとの接触機会、遊走性紅斑などの症状、米国疾病管理予防センターが示す血清学的診断基準などによって、総合的に診断を下すよう奨励されています。
一方、日本では輸入例と国内例があるため、病原体を検出して血清診断を行い、それぞれに適した抗原を選択しています。
当該検査は国立感染症研究所・細菌部で行われます。
ライム病の治療には抗菌薬が有効で、遊走性紅斑、神経症状、慢性関節炎など、各症状に対して最初に用いられる抗菌薬が確定しています。投薬期間は2~4週間程度です。
ライム病の予防
感染症ですから、予防には何よりシュルツェ・マダニに刺咬されないことです。
まだまだ気温の高い日も続きますし、秋のお出かけシーズンも到来します。
マダニの活動期に野山に出かける際は、次の点に注意をしましょう。
●むやみに藪に分け入らない●白っぽい服を着てマダニの付着が確認しやすいようにする●衣服の裾を靴下の中に入れる●虫よけをしてマダニを身体に近寄らせない
なお、ライム病に対する予防接種は日本にはありません。
万が一刺咬されたときは、マダニを自分で皮膚から剥がさないで、皮膚科を受診して切除してもらうことをおすすめします。
むやみに虫をはぎ取ると、マダニの刺口が皮膚に残りかえって感染を進めてしまう恐れがあります。
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