国立感染症研究所(感染研)は16日、今年になって報告された風疹(ふうしん)患者数が1103人になったと発表した。昨年1年間(93人)の約12倍に上っており、平成24~25年の前回の大流行に匹敵する規模への拡大が懸念される。
感染研によると、今月1~7日の1週間に新たに報告された患者数は計135人で、5週連続で100人を超えた。都道府県別では東京が45人と最多で、次いで、神奈川(21人)、千葉(20人)、埼玉(7人)、群馬(6人)、愛知、兵庫(各5人)-が続いた。
流行はすでに40都道府県に及び、全患者数のうち男性は916人、女性は187人に上っている。患者は特に30~50代男性に多く、ワクチンの接種歴「なし」や「不明」が目立つ。
現在は男女ともに幼児期に風疹ワクチンの定期接種が行われている。だが国は当初、女性だけをワクチン接種の対象としており、昭和54年4月1日以前に生まれた男性は、接種機会がなかった。こうしたことなどから、95%以上が望ましいとされる抗体保有率は30代後半~50代男性で、7~8割にとどまる状況だ。
風疹は妊娠初期の女性がかかると、赤ちゃんに難聴や心臓病などの障害が起きる恐れがある。厚生労働省は今月2日、風疹の流行が続く東京、神奈川など5都県に対し、妊娠を希望する女性や妊婦の同居家族に、抗体検査を推進するよう通知。適切なワクチン接種の実施を呼びかけている。
風疹 患者のせきやくしゃみなどを介して感染する。主な症状は発熱や発疹、リンパ節の腫れだが、明確な症状が出ない人も15~30%程度いるとされる。妊娠初期の女性が感染すると、産まれてくる子供に難聴などの先天性風疹症候群(CRS)の症状が出る恐れもある。ワクチンを2回接種すれば99%免疫ができる。ワクチンで予防できるが妊婦は接種できないため、CRSの予防には妊娠前の接種と、周囲の家族の接種が重要になる。
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