従来の薬が効かない「薬剤耐性結核」の患者を対象にベラルーシの医療チームが行った新薬の臨床試験で、治癒した患者の割合が80%だったことが22日、AFPの取材で分かった。世界的に死亡率の高い結核との闘いで「ゲームチェンジャー」になり得る画期的な成果だ。
ベラルーシは、多くの薬が効かない「多剤耐性結核」の感染率が世界で最も高い国の一つとなっている。首都ミンスクにある研究所などの医師らは、新薬ベダキリン(bedaquiline)と抗生物質を組み合わせた治療を数か月かけて実施。AFPが独占的に確認した結果によると、投与された患者181人のうち168人が治癒していた。
世界保健機関(WHO)の9月の発表によると、現状では多剤耐性結核の治癒率は55%に過ぎない。新薬による治癒率は80%と、これをはるかに上回る。東欧やアフリカ、東南アジアの別の国で行った臨床試験でもおおむね同じ結果が出たという。
国際結核肺疾患予防連合(IUATLD)のポーラ・フジワラ(Paula Fujiwara)氏は今回の成果について「薬剤耐性の極めて高い多剤耐性結核の治療でベダキリンのような新薬が効果的であり、ゲームチェンジャーになり得るということを裏づけた」と高く評価した。
WHOによれば、2017年には結核で少なくとも170万人が死亡しており、世界の感染症による死亡原因で上位に入っている。
研究成果は今週開催される結核に関する国際会議で発表される。