2019/02/27【アニサキス】アニサキス食中毒、2年で3.7倍 食安委など実態把握へ
魚介類に寄生するアニサキスによる食中毒がこの2年で急増している問題で、関係機関が実態把握に乗り出した。食品安全委員会は3月4日から専門調査会で議論を開始。厚生労働省も実態調査に着手している。昨年は生のカツオを原因とした事例が激増しており、科学的知見が不足する中、議論の行方が注目される。
厚労省の食中毒統計によると、2016年に124件だったアニサキスの食中毒報告件数は、17年に230件、18年に467件(速報値)となり、この2年で3.7倍以上に増加した。ほかの食中毒と比べても急増ぶりが顕著で、食中毒原因物質別の事件数としては17年にカンピロバクターに次ぐ第2位に浮上。18年はカンピロバクターを抜いて第1位となっていた。
感染源はこれまでサバやイカ、サンマが多かったが、18年はカツオ(刺身、たたきなど)が激増。厚労省に報告される食中毒発生事例によると、前年の10件から99件へと増えていた(推定事例や刺身盛り合わ事例等含む)。
こうした事態を受け、食品安全委員会は3月4日から、微生物・ウイルス専門調査会で危害評価の取り扱いについて審議を開始する。専門調査会でアニサキスを単独で議論をするのは今回が初めて。一方、厚労省は「カツオの生食による食中毒の報告例が多いことは把握している」(食品監視安全課)として、今年度の厚生労働研究においてカツオ被害の実態把握や予防法に関する研究に着手していることを明らかにした。
アニサキス食中毒の急増について、食安委事務局は「食中毒統計が被害の全体を示しているわけではなく、年間7000件以上発生しているとする推計もある。12年に義務化された届け出制度の周知が進み、自治体からの報告件数が増えている可能性もある。