日本国内では頻繁に使用されるが、海外では実はあまり使用されない「薬」も少なくないという。たとえば、かぜや発熱時におなじみの「抗生物質」も、そのひとつだ。新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんはこう話す。
「そもそもかぜの原因の多くはウイルス感染であり、細菌を殺す抗生物質は効かないことがわかっています。そのうえ、抗生物質を濫用することにより、体内に薬の効かない耐性菌ができてしまう危険性も指摘されている。
にもかかわらず、日本では処方する医師がまだ多く存在します。ヨーロッパではもう使用されておらず、これまで処方されてきたアメリカでも、他国に倣って使用を控えるよう医師に対する注意喚起がなされています」
今年は4~5月にインフルエンザが流行する珍しい年になったが、この治療薬に関しても日本は“ガラパゴス”だ。
「インフルエンザの特効薬として知られる『タミフル』は、世界の使用量の実に4分の3を日本が占めています。日本ではインフルエンザと診断されたら、ほぼ100%の人が何らかの薬をもらうようになっていますが、世界的には特異なことです。欧米では別の感染症にかかるリスクがあるのでかぜやインフルエンザの時は病院に行ってはいけないというのが常識。つまり、世界の多くの国でインフルエンザには薬を使わないのです。
病気そのものより、薬をのみすぎることで耐性ウイルスを生み出してしまうリスクの方を恐れるべきです」(岡田さん)
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