2019/06/06【ニパウイルス】インドでニパウイルス流行再燃の恐れ、300人以上を観察下に /インド
インド南部ケララ州の衛生当局は5日、23歳の男性がニパウイルス感染症と診断され、300人あまりについて経過観察を続けていると発表した。
当局は、感染者の男性と接触のあった311人を特定したと述べ、ほかにも4人にニパウイルスの症状が出ていることを明らかにした。全員について経過観察を続け、自宅から外出しないよう指示したとしている。
インドでは昨年も、ケララ州北部でニパウイルスの流行が拡大して17人が死亡し、住民の間にパニックが広がった。
しかし今回は迅速に行動し、ウイルスに接触した可能性のある人全員に対して隔離や経過観察、治療の措置を講じたと当局は強調している。
ケララ州衛生局長の4日の記者会見によると、ニパウイルス感染症と診断された男性は同州中部エルナクラムの病院で隔離病棟に入院しており、容体は安定している。
さらに、この男性を担当していた看護師2人を含む4人に発熱などの症状が表れたため、4人とも隔離病棟に移された。
衛生局長は住民に対し、「平静を保ち、パニックを起こさないでほしい」と呼びかけている。
ニパは動物から人に感染するウイルスで、感染者は40~75%の確率で死に至る。感染しても症状が出ないこともあれば、脳炎を引き起こしてさまざまな合併症を併発する場合もある。
特にオオコウモリが媒介となることが多く、ブタなどの家畜にも感染して、そうしたコウモリや家畜との直接的な接触を通じて人に感染する。
世界保健機関(WHO)によると、2018年の流行では、感染者の自宅の未使用の井戸から発見されたオオコウモリが感染源だった可能性が指摘されいる。