アフリカのコンゴ民主共和国で行われているエボラ出血熱に対する新薬の臨床試験で、非常に高い生存率が示され、期待を集めている。研究者は、エボラ出血熱が近いうちに「予防可能、治療可能な」病気になるかもしれないと話した。
エボラ出血熱がアウトブレイク(大流行)している同国では昨年11月から、アメリカの国立アレルギー感染症研究所(NIAID)や世界保健機関(WHO)が協力し、4種類の新薬の試験が始まっている。
このうち、「REGN-EB3」と「mAb114」と呼ばれる新薬で約90%の生存率が示された。この2種の新薬は今後、コンゴ民主共和国内でエボラ出血熱患者の治療に使われるという。
コンゴ民主共和国では昨年、エボラ出血熱で1800人以上が死亡した。
「REGN-EB3」と「mAb114」は共に、エボラ出血熱から生還した患者の抗体を使って開発され、エボラウイルスが人体に与える影響を中和するはたらきがある。
当局によると、一般的な病状では「REGN-EB3」を投与した患者の29%、「mAb114」では34%が亡くなった。
一方、臨床試験が行われた残りの新薬「ZMapp」と「Remdesivir」を投与した患者では、それぞれ49%と53%が死亡した。この2種は効果が薄かったため、試験から外されている。
血中のエボラウイルスが少ない患者に対する試験では、「REGN-EB3」を投与した患者の生存率は94%、「mAb114」は89%に上った。
保健慈善団体ウェルカム・トラストのジェレミー・ファーラ
ー会長は、この新薬が「人命を救うことは間違いない」と、試験結果を称賛した。
今回の成果により、エボラ出血熱は「予防可能・治療可能な」病気に近付いているとファーラー会長は話した。
「エボラウイルスを完全に排除することはできないだろうが、国家レベル、地域レベルで起こる大流行を止められるようになるだろう」
コンゴ民主共和国の東部では昨年8月にエボラ出血熱がアウトブレイクしている。
2014~2016年に西アフリカで起きた大流行では、ギニア、リベリア、シエラレオネなどで合わせて2万8616人が感染し、1万1310人が死亡した。