長崎大が長崎市の坂本キャンパスで建設中の感染症研究施設「バイオセーフティーレベル(BSL)4」について、周辺の反対住民らが研究計画の差し止めを求めた訴訟の第1回口頭弁論が19日、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)であり、同大は請求却下を求めて争う姿勢を示した。
原告は、周辺住民や市民2269人でつくる「BSL4施設計画の差し止めを求める会」(山田一俊代表)と同会の役員3人。
訴状によると原告は、危険度の高い病原体を扱うBSL4施設からウイルスなどが漏れると住民は感染して命に関わる健康被害が生じると指摘。憲法上の生存権や幸福追求権などが侵害されるとして、建設中の建物をBSL4施設として活用しないよう求めている。
山田代表は意見陳述で「大学は世界最高水準の施設なので安全だの一点張りで必要な情報を開示しない。住民の理解や合意もなく、道義的責任を顧みず強行している計画は即刻中止すべき」と訴えた。
大学側は答弁書で「万全の対策を講じる予定で、生物災害を当然に発生させるかのような主張は根拠を欠く」と反論。原告が周辺住民だけではなく、生活上の利害関係はないため当事者適格を欠くと主張している。
設計図などの情報を開示しなかった処分の取り消しを同会などが求めた訴訟の第1回口頭弁論も同日、長崎地裁(土屋毅裁判長)であり、同大と長崎市は請求却下を求めた。