2020/01/09【コロナウイルス】中国発の「原因不明の肺炎」、韓国でも患者発生 /韓国
中国内陸部の湖北省武漢市で原因不明の肺炎患者が集団発生しているが、武漢市をこのほど訪れて現在は韓国に滞在中の中国人女性Aさん(36)が肺炎であることが8日、確認された。保健当局はAさんを盆唐ソウル大学病院(京畿道城南市)に隔離して治療・検査を実施する一方、Aさんと一緒に武漢に行ってきた会社の同僚や病院の医療関係者の発症有無を調査している。旧正月連休(1月24日から27日まで)を前に集団感染の恐れがある肺炎患者が国内で発生したことから、保健当局に緊張が走っている。
疾病管理本部は同日、「昨年12月13日から17日まで武漢を訪問した履歴があるAさんに(肺炎の)症状があることが7日確認されて盆唐ソウル大学病院に隔離、治療と検査をしている」と明らかにした。京畿道内の会社に勤務するAさんは昨年12月13日から17日まで業務のため武漢市に出張していた。疾病管理本部は「Aさんは肺炎の発生地と言われている市場『華南海鮮城』を訪れたことはないと語った」としている。その後、同月17日から25日まで京畿道内の会社に出勤、26日から30日まで中国南東部の福建省厦門(アモイ)市に出張にして韓国に戻った。厦門で帰国直後の12月31日、Aさんは、咳やのどの腫れといった症状が出て、新年1月2日から3日まで烏山韓国病院(京畿道烏山市)を2回訪れた。
烏山韓国病院では「X線検査の結果、問題ない」と見て風邪薬を処方した。1月6日に東灘聖心病院(京畿道華城市)で検査を受けたが、同じ結果だった。しかし、症状が収まらず、翌1月7日に同病院で肺炎と診断された。肺の両側で肺炎の症状が確認された。病院側は保健当局に直ちに報告、Aさんは同日夜、感染症国家指定入院治療の病床がある盆唐ソウル大学病院に移送され、隔離治療を受けている。
8日午前4時、Aさんに対する中東呼吸器症候群(MERS)やインフルエンザなど9種類の呼吸器ウイルス検査の結果が出たが陰性だった。疾病管理本部は「8日午後から重症急性呼吸器症候群(SARS)感染も調査している。Aさんと一緒に武漢に出張した職場の同僚や医療関係者など、Aさんと接触した人々の調査も進行中だ」と述べた。
疾病管理本部は「病原体検査と疫学調査が行われていることと、人と人の間での感染や医療関係者への感染の証拠はまだない、という中国保健当局の発表に基づき、危機段階レベルを『関心』レベルで維持する」としている。また、「烏山韓国病院と東灘聖心病院の診療は中断せずに維持するが、発生状況を注視しつつ、危機段階調整を検討する予定だ」と明らかにした。
武漢と仁川国際空港を行き来する直行便は週8便運航されている。疾病管理本部は「武漢から直行便で入国した全員に対して発熱状態監視や健康状態の確認といった検疫を強化している」と説明した。さらに、武漢に入った人物の情報を韓国の医療機関と共有することにした。
武漢市衛生健康委員会は昨年12月31日、「原因不明のウイルス性肺炎と診断された患者27人が確認され、隔離・治療中だ」と発表した。実際に患者が出たのはその19日前の12月12日だと推定される。
2002年から03年にかけて中国の香港、台湾、カナダなど7カ国で775人が死亡したSARSが再び広がっているのではないかという懸念もあったが、中国保健当局はSARSやMERSではない新型呼吸器疾患だと見ている。
武漢市衛生健康委員会は5日現在で患者が59人に増え、このうち7人が重体だとは発表した。香港(21人)、マカオ(8人)、台湾(7人)など近隣地域・諸国でも患者が確認され、危機段階のレベルが高まっている。現時点で死亡者は確認されていない。