アストロウイルス Astro Viruses
胃腸炎の原因となり、下痢、嘔吐、腹痛、発熱などの症状をもたらしますが、おおむね軽症です。
病原体について
アストロウイルスはアストロウイルス科のRNA型ウイルスの総称で、エンベロープを有しません。Human Astro Virusには1~8型の血清型があります。
Human Astro Virusは胃腸炎の原因となり、下痢、嘔吐、腹痛、発熱などの症状をもたらしますが、おおむね軽症です。
酸(pH3)に耐性、60℃5分の加熱には耐性がありますが、60℃10分の加熱により感染性が失われます。
日本においてHuman Astro Virus胃腸炎は、ノロウイルス・ロタウイルス胃腸炎よりも低頻度に検出されていますが、主に冬期に発生しています。
感染経路は糞便による経口感染ですが、汚染された食物を介した集団感染の可能性もあります。感染症例によるウイルスの排泄は2週間継続します。糞便1g当たり1億個のウイルス量が検出されます。
このウイルスは、電子顕微鏡で観察すると粒子の直径が約28nmで星型に見えることからアストロウイルスと名づけられました。
特徴
主に乳幼児が感染すると、急性胃腸炎を引き起こしますが、成人の流行例もあります。
乳幼児の保育施設や病院内での集団発生の原困となることがあり、高齢者を収容している施設での集団発生の報告もあります。
急性胃腸炎の中では、3番目または4番目に多いウイルスであると報告されております。生後1才未満の乳児等の幼若期ほど感染しやすく、発症率も高いといわれ、主に冬に流行しますが、一般に軽症で発熱や嘔吐は少ないです。
原因不明な集団発生においては、その1割近くがアストロウイルスに起因するとされています。
感染経路
1)経口感染
人の糞便などに含まれるアストロウイルスが、下水を経て川から海に運ばれ、カキなどの二枚貝の内臓に蓄積されます。それを、十分に加熱しないで食べると感染します。
2)接触感染
アストロウイルスに感染した人が、十分に手洗いを行わずウイルスが手についたまま調理をすると、食品が汚染され、その食品を食べた人が感染します。
3)空気感染
アストロウイルスに感染した人の糞便や嘔吐物を処理した後、不適切な処理で残ったウイルスが、乾燥してホコリと一緒に吸い込むことで感染します。
潜伏期間と主な症状
潜伏期間は1~4日程度です。
ノロウイルス等と同様に、下痢、嘔吐などの症状を呈しますが、ノロウイルスやロタウイルスに比べて、症状が軽い傾向にあることが知られています。