感染のメカニズムについて
- 2017/7/3
- 感染症ガイド
感染のメカニズムについて
感染の成立や発症とはどのような過程を経て起こるものかを簡単に解説しております。
1)感染のメカニズムについて
※あくまでイメージです。
感染のメカニズムは、ウイルスや細菌などが人に付着したりすることを汚染といいます。そこから身体に侵入することで感染となります。その後、体内で増殖することで発病しますが、免疫力(抵抗力)により増殖を抑えることが出来れば発病しません。
よくインフルエンザに感染した経験が無いという人がおりますが、厳密にいえば感染はしております。発病しなかったか、症状が軽すぎて気付かなかっただけの場合が多いです。日本では生後半年以内の乳幼児を除けば、ほぼすべての人が感染はされているそうです。
2)感染の成立について
感染は、一定の条件が整い、1.感染源 ⇒ 2.宿主 ⇒ 3.排出口 ⇒ 4.感染経路 ⇒ 5.侵入口 ⇒ 6.感受性宿主が繋がることによって成立します。
感染は、上記の1~6一つでも欠ければ成立しません。また、感染成立=感染症発症とは限りません。病原体が宿主とともに協力関係で生活している共生や病原体自身が病原性を持ち、宿主との間に不都合な関係が成立する場合、感染症は発症しません。感染しても発症には至らないヒトを健康保菌者、不顕性感染者と言います。
1.感染源
細菌やウイルス、真菌や寄生虫などの寄生体となる微生物が感染源である。
2.宿主
ヒト、動物、植物、環境、媒介物などあらゆるものが宿主となりうる。院内感染における宿主は、患者及び医療従事者(保菌者・潜伏期の患者を含む)、医療用器材、病院環境等が考えられる。
3.排出口
排出口はヒトの場合、呼吸器、消化器、泌尿器、皮膚、粘膜、胎盤、血液などです。感染源である微生物は宿主から排出口へと排出される。くしゃみや咳によって排出され喀痰、便、精液、血液などとも一緒に排出されます。
4.感染経路(伝播方法)
接触感染には感染源に直接触れる直接感染と感染源に汚染されたものに触れる間接感染がある。院内感染では、特に飛沫核感染(空気感染)、飛沫感染、接触感染が重要とされています。
空気予防策(空気感染予防策)
空気の流れにより感染源より1m以上の距離へ伝播する為、低圧空調設備を備えた個室管理や隔離対策をとります。
飛沫予防策(飛沫感染予防策)
微生物が空気中を浮遊し続けることは出来ず、感染源より1m以上の距離には伝播しないため、特別な空調設備は必要としないが、咳やくしゃみで遠くに飛ぶ危険があるため、保菌者(宿主)はマスク着用などの対策が必要です。
接触予防策(接触感染予防策)
個室隔離、入室時の手袋とガウンの着用、専用器具の使用、消毒薬による処置対策をとります。
5.侵入口
病原体は侵入口がなければ人体に入り込めない。侵入口となりうるのは、呼吸器、消化器、泌尿器、皮膚、粘膜、血管、胎盤などである。
6.感受性宿主(易感染性宿主)
健康な宿主は生体防御システムが十分に備わっているため、病原体から身を守ることが出来ます。しかし易感染性宿主は、年齢、性別、免疫力や栄養状態、既往症や基礎疾患、治療中の処置等によって、生体防御システムが十分に機能せず、病原性の低い病原体にも容易に感染する宿主です。
出典:一般社団法人医療福祉検定協会 「医療環境管理士公式テキスト&問題集」より一部抜粋