プリオンについて
1)プリオンは異常タンパク質
最も単純で厄介な感染性病原体です。
プリオンは単一の蛋白でウィルスと異なりDNA・RNA等の核酸をもちません。
異常プリオンが体内、特に脳に侵入すると(感染すると)、必要な機能を果たしている正常なプリオン蛋白の構造を変化させ、異常蛋白に変えて発症(脳の海綿状脳症)させてしまいます。
2)代表的な疾患
人間 :クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)
羊 :スクレイピー
ウシ :BSE
シカ、エルク:慢性消耗性疾患
羊ではスクレイピー、人間では高齢者の100万人に1人の割合で発症するクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)が報告されています。そのプリオンがウシのBSE、シカやエルクの慢性消耗性疾患の原因ともいわれています。
プリオンは通常の細菌、ウィルスを殺す滅菌法では抹消できないので、紫外線や通常の条件での高圧滅菌では失活しないが、苛性ソーダによる加水分解では失活します。
最近では、試験法の検出感度が改善され、脳ばかりでなく、血液、筋肉にも検出されるとの報告もなされています。
院内感染については、CJDが脳波計の針型電極や、脳手術に伴う硬膜移植を介して感染することもあるため、アルカリ処理が必要となります。
万が一、病気が蔓延した場合、医療現場では医療器具の消毒等、大変な混乱状態に陥ります。
以前にはBSEのオリジンがCJDではないかとの説が浮上していました。聖なるガンジス川では火葬した死者を流します。下流のバングラデシュでは牛の死体等を拾い集め、肉骨粉の原料としていました。たまたまCJD感染の遺体も紛れ込んでおり、英国で牛が摂取したとの説が有力視されていました。
出典:一般社団法人医療福祉検定協会 「医療環境管理士公式テキスト&問題集」より一部抜粋