清掃・洗浄について
清掃・洗浄とは、感染源の排除
感染症対策を行う上で、適切な清掃・洗浄作業は非常に重要です。
清掃・洗浄とは、水や専用の洗剤を使用して、目に見える埃や汚れを除去することで、消毒・滅菌とは、肉眼では見えない病原微生物を除去することです。
消毒の前に、適切な清掃・洗浄が重要
清掃・洗浄をし、その後で消毒を行います。
消毒・滅菌は、埃や汚れ、特に油分が付着していると、本来消毒・滅菌したい箇所に、薬液が接触しないため、効果が発揮されません。ですので、消毒・滅菌を行う前に、適切な清掃・洗浄を行い、その後薬液による消毒・滅菌もしくは熱湯などによる消毒・滅菌を行います。
汚れは主に油分
汚れとは、主に油分が主体です。
水ではなかなか落ちない箇所は、専用の洗剤・クリーナーを使用します。トイレ用洗剤や浴室のカビ取り剤など、人体に危険な薬剤もありますので、取扱いには十分注意が必要です。
汚れは複合汚れが大半で、落ちにくい性質を持っています。対象物に付着している汚れの種類を把握することが、効果的な洗浄のポイントになります。
洗浄効果を高める3要素
洗剤・洗浄剤の作用だけでは十分に汚れを落とすことができません。
「洗剤・洗浄剤」と「物理的な力」「水またはお湯」の3つの共同作業で良好な衛生状態が生まれます。これを「洗浄の3要素」といいます。
つまり、食器を洗浄する際に、スポンジなどを使用するのは、物理的な力を加えるためであり、スポンジに水分を含ませるのは水分を加えるためです。
清掃・洗浄から消毒・滅菌の流れ
一般的には、高いところから低いところ、つまり天井から床へという流れになります。
また、作業者自体が汚染されていきますので、汚染度合が低いところから高いところへとなります。
手指で頻繁に触れる箇所は、別で扱い、定期よりも都度消毒するなどの対応が重要です。作業者のユニフォームが汚染されやすい作業の場合は、マスク、手袋、専用のエプロン、長靴などを装着し、作業終了後のケアに影響が無いようにすることも重要です。
作業終了後には、用具の洗浄・消毒・乾燥を適切に実施し、適切な場所に保管しておくことも重要です。清掃用具が感染源となった例もありますので、注意しましょう。
手順の確認 ⇒ 用具の準備 ⇒ 清掃・洗浄の実施 ⇒ 用具の洗浄 ⇒ 用具の保管
水モップの使用上の注意について
水モップは広範囲の清掃には非常に便利な道具ですが、その特性として汚れが蓄積されていき、時には汚れを拡げてしまう場合があります。
バケツ等で水モップを洗浄しても、バケツ内の水が汚染されていくと、同様です。そのため、水モップを使用する場合はバケツ内でモップを濯がずに、先端の替え糸ごと交換して清潔な替え糸で作業を続けていくことが有効です。
替え糸は使用後に漂白・洗浄し、よく乾かしておく必要があります。
使用の注意事項としては、「S字一方向拭き」とし、同じ個所を2度拭きしないように実施します。
カラーゾーニングについて
事業所や施設内には様々な場所があり、それぞれの使用目的によって感染リスクが異なります。
そのため、施設内のエリア毎に、注意色などで色分けを行います。このことをカラーゾーニングと言います。
見取り図や場所ごとにカラープラカードを提示し、清掃用具の色分けなどを実施することが望ましいです。