ジカウイルス Zika Virus
ジカ熱、ジカウイルス感染症
ジカウイルス感染症は、感染症状は軽いものの、感染後にギラン・バレー症候群を引き起こすことがあります。また、妊娠女性が感染すると小頭症などの胎児の神経系に障害を引き起こすことがあります。
病原体について
ジカウイルスはデングウイルス同様に、フラビウイルス科に属するRNAウイルスの1種です。デングウイルスと同様に、ネッタイシマカやヒトスジシマカによって感染します。感染症法の4類に分類されています。
ジカウイルスは、1947年にウガンダのZika forest(ジカ森林)のアカゲザルから初めて分離され、ヒトからは1968年にナイジェリアで行われた研究の中で分離されました。ジカ熱は、2007年にはミクロネシア連邦のヤップ島での流行、2013年にはフランス領ポリネシアで約1万人の感染が報告され、2014年にはチリのイースター島、2015年にはブラジルおよびコロンビアを含む南アメリカ大陸での流行が発生しました。
WHOによると、2015年以降2016年第2週までに、中央および南アメリカ大陸、カリブ海地域では20の国や地域から症例が報告されています。
日本への最初の輸入症例はフランス領ポリネシアでの感染症例でした。
特徴
ジカウイルス感染症は、感染症状は軽いものの、感染後にギラン・バレー症候群を引き起こすことがあります。
また、妊娠女性が感染すると小頭症などの胎児の神経系に障害を引き起こすことがあります。中南米、大洋州、東南アジア、アフリカなどで感染の発生が報告されています。
感染症第4類に分類され、デング熱、チクングニア熱と同様、感染症法の第4類に分類されています。
感染の危険のある地域は、中南米、大洋州、東南アジア、アフリカです。
感染経路
ジカウイルス感染症は、デング熱、チクングニア熱、黄熱と同じく、主にシマカ属の蚊によって媒介されるウイルスを原因として引き起こされます。
感染者との性交渉によっても感染することが確認されています。
潜伏期間と症状
潜伏期間は3~12日です。不顕性感染率は約80%とされています。
ジカウイルス感染症に罹った人には、通常、軽度の発熱、皮疹、結膜炎、筋痛や関節痛、倦怠感、頭痛などが現れます。
通常、これらの症状は2~7日間続きます。但し、多くの場合は、症状が現れず、感染に気づかないことがあります。
妊娠女性が感染すると、胎児に先天性の神経障害や小頭症を起こすことがあります。また、成人では感染後に数週間を経てギラン・バレー症候群を発症することがあります。
ジカウイルスは小頭症およびギラン・バレー症候群の原因であることが科学的に一致する見解となっています。
症状が消失してからも合併症には注意が必要です。
予防
媒介する蚊に対する予防
できるだけ体の多くの部分を覆う(できれば明るい色の)服を着る、蚊帳を使う、虫除け剤を使うなどの基本的な防蚊対策が必要です。
性交渉に伴う感染に対する予防
少なくとも帰国後6か月間は性交渉を控えるか、安全を期す必要があります。それ以上に注意が必要となることもあります。
治療
症状に応じて対症療法を行います。一般的に入院の必要はありません。